【10月30日(水):1日目】
①オリエンテーション (空知総合振興局:岩見沢市)
空知振興局会議室にて、ツアー行程の説明の後、参加者と関係者の自己紹介を行いました。
空知総合振興局農林課小林係長から北海道と空知の森林の状況についてお聞きしし、林業の担い手を増やす取組に力を入れていることや、午後に見学する地球温暖化防止に期待される優良苗木の育成に取り組んでいることなどを教えていただきました。また、空知のまちについて地勢や産業、炭鉄港のまちづくりなどについて説明いただきました。


② 種苗見学(北空知森林組合:深川市)
午後からは北空知森林組合が種苗生産を行っている深川市音江に移動し、修行見学を行いました。到着した現場は一見畑のようで、組合の職員の方たちは苗の植え付け作業を行っていました。組合の十川課長から、森林組合の仕事内容や苗畑での年間の作業や留意点について説明いただきました。現在組合が育成に力を入れている「クリーンラーチ」は優秀な性質を持つカラマツとグイマツを掛け合わせて選別された苗で、年間を通して管理を行っており、今後の普及活用が期待されているということです。




【10月31日(木):2日目】
③芦別市について(芦別市役所:芦別市)
④安全講習(芦別市役所:芦別市)
芦別市役所会議室にて、芦別市の概要と芦別市の林業について芦別市農林化林務係の石田係長から、芦別地域の木材事業者について木材協会の永野専務から説明いただきました。また、林業の仕事の概要や林業の事故、作業の安全管理について石田係長から説明いただきました。午後の体験前には町内を案内いただき、芦別市の特徴について知ることができました。




⑤現場見学(芦別市森林組合事業地:赤平市)
芦別市森林組合の事業地である赤平市内の現場を訪問し、伐採や下刈り、地拵えの作業を見学しました。
最初に藤田管理部長から現場の概要を説明いただきました。現場は広く開けた沢地で、足元に水気が多く作業が難しそうでした。大きな重機が何台も役割分担をしながら並行して作業を行っていました。伐採された木材を玉切りしているところ、トラックに搬出する準備をしているところ、地拵えをしているところなどがありました。足場が悪いので重機での作業には熟練の技が必要そうでした。
下刈りの作業の見学を想定していましたが、現場の作業状況から地拵えの作業を見学しました。伐採した後に枝や根を放っておくと、そこに虫や生き物が集まってしまうため苗が育ちにくく、健全な森を育てるためには森を綺麗にしておく必要があるということです。地拵えは人の手で行うには重労働であり、重機の活躍が大きい現場でした。




⑥植え付け体験(芦別市森林組合事業地:芦別市)
⑦森林調査体験(芦別市森林組合事業地:芦別市)
午後からは芦別市内にある森林組合の事業地を訪問し、植え付けと森林調査を体験しました。作業現場は小高い斜面で、芦別市の森林がよく見通せる場所でした。紅葉の季節ということもあり、人工的に植えられている木の種類と場所がはっきりと見通すことができ、石田係長から市内の森林のようすを解説いただきました。
植え付けの作業を行っている現場に合流する予定でしたが、職人さんの作業が早々に終わっていたため、数箇所の苗植えを体験しました。藤田管理部長から鍬の使い方や植え方のコツを教わって実際に植えてみましたが、上手になるには経験を積むことが大切だと感じられました。
木の測定や伐採現場の測量について、最新の機器を使用した方法の解説を受けながら体験しました。参加者は本格的な作業を見学・体験でき、大変満足した様子でした。






⑧懇親会(芦別市内)
芦別市の関係者の皆さんとの懇親会を行いました。皆さんが林業の仕事についた経緯などをお聞きしながら、参加者が林業に興味を持った理由や今後の働き方に対する考え方などについて話をうかがいました。中途で林業の仕事に就くのは珍しいことではなく、林業の仕事のやりがいや仕事に感じるおもしろさを聞くことができ、今後の就業について役立つ情報を得ることができました。
【11月1日(金):3日目】
⑨工場見学(赤平市内)(空知単板株式会社)
芦別市の隣の赤平市にある空知単板工業株式会社を訪問し、海野部長に案内いただきました。ホワイトオークの板目薄単板では日本一の生産量という有名企業で、外国産の大きな丸太が薄い単板に変わっていく様子や職人さんの熟練の手さばきを拝見しました。工場内には繊細な生の木を扱うために大型冷蔵庫や冷凍庫がいくつもありました。






⑩工場見学(滝澤ベニヤ株式会社、有限会社吉井木材、道央ランバー株式会社:芦別市)
午後からは、芦別市に戻り滝澤ベニヤ(株)を訪問しました。滝澤社長から会社概要についてお聞きし、小川課長に工場内を案内いただきました。間伐材を中心とした国産材を使った合板が有名な企業で、色紙を組み合わせたPaper-Woodは、見た目も美しく世界中に取引のある看板商品です。芦別工場ではその原材料を製作しています。大きな丸太が薄い布のように削られ巻き取られていくようすは初めて目にする光景でした。
(有)吉井木材では吉井社長から、林業のサイクルや、若い方たちが林業に関わる意義、来年旭川にできる北海道立北の森づくり専門学院と芦別地域の事業者の取組などについてお聞きしました。
道央ランバー(株)は作家さんから個人まで幅広い顧客ニーズに応える製品や素材を提供しており、インターネットでの販売も行っています。建物や屋外の敷地いっぱいに様々な木材が保管されていました。芦別木材協会の永野専務の案内のもと工房を見学しました。この日は、国産ウィスキー樽の材料の製材というとても珍しい作業も拝見しました。
芦別・赤平の企業を通じて、グローバルな商品開発や持続可能な環境を考えた「木の仕事」に携わる方々の熱い思いをお聞きすることができました。








【11月2日(土):4日目】
⑪造材生産体験(矢田木材:芦別市)
最終日は矢田木材に協力いただき、造材生産を体験するため、芦別市内にある国有林の現場を訪問しました。芦別木材協会の永野専務理事に現場を案内いただきました。
現場はかなり傾斜がきつく、作業の難しい現場だということがわかりました。効率的かつ安全に作業を行うためには、作業や搬出のための道路付け、木材を切り出す場所や順番、木材を貯めておく土場づくりなど、緻密な計算がないといけないということでした。またそれぞれのパートでも、確かな技術が必要だろうと感じました。
この現場でもやはり高性能林業機械が活躍していました。若い職人さんも多く、重機の運転は仕事の中で覚えていったということでしたが、狭い足場でミスなく作業をしていくには技術と集中力が求められると感じました。
昨日までとはまたちがった、造材の作業現場を見学・体験でき、参加者は大変満足した様子でした。








⑫工場見学(芦別木質バイオマス開発共同組合:芦別市)
最後に、芦別木質バイオマス開発協同組合の工場を、芦別木材協会の永野専務の案内で見学しました。芦別市では森の仕事の中で製品にならない木材を集めてチップ化して発電を行う木質バイオマス発電事業に取り組んでいます。事業を行っている協働組合の事務所を訪問し、発電の材料となる木材やチップの貯蔵施設などを見学しました。


⑬振り返りの会
全プログラムを終え、昼食をとった喫茶店でアンケートを記入しました。
参加者はこの4日間で様々な体験をし、林業の仕事の内容について具体的なイメージを深められたようでした。受入れ先の皆さんの林業への熱い想いや、なごやかに仕事をされているようすに触れ、仕事への期待を感じたようでした。4日間の全ての体験に同行・案内いただいた木材協会、芦別市の皆さんに感謝を伝えました。
