林業お試しツアー2019 in 美瑛・富良野エリア 実施レポート

【10月9日(水):1日目】

①オリエンテーション (美瑛町役場)

 ツアー行程の説明、参加者と関係者の自己紹介の後、美瑛町役場経済文化振興課 交流振興係長兼移住定住推進係長の田中氏より、美瑛町の紹介と移住施策についての説明がありました。美瑛町は7割が山林、そのほとんどが国立公園です。人口のピークは昭和35年、21,000人で、最近1万人を切りました。移住者も多く、現在の町長も京都出身で、美瑛町に憧れて移住されたとのことです。移住施策としては、まず住む場所の支援があり、空き家情報バンク・定住促進住宅・二地域居住体験住宅・美瑛町定住住宅取得助成制度など様々な制度があり、子育てに関する支援制度も大変手厚いとのことです。その他起業・創業の支援として助成制度の創設や、空き店舗改修費や家賃の一部助成も行われているとのことです。
 次に、美瑛町森林組合総務部長の遠藤氏より、美瑛町森林組合の概要についてご紹介いただきました。森林組合とは、山林を持っている組合員のための団体であり、森林組合自体も山を持っています。現在342haあり、後継者のいない組合員の所有林を買うなどもしているとのことです。美瑛町内はカラマツがメインであり、毎年3千万程度の剰余金があり、5%程度の出資配当をしているとのことです。就業環境・労働条件についてもご紹介いただきました。

② 安全講習 (美瑛町役場)

 林業・木材製造業労働災害防止協会北海道支部旭川分会担当の安全衛生指導員、鈴木 章記氏より労働安全について講話をいただきました。チェーンソー・刈払機は振動工具であり、振動と音の両方で白ろう病になりやすくなるため防振手袋とイヤマフを着用すること、また危険防止のため、フェイスガードや特殊繊維の入った安全ズボン(チャップス)を着用することの重要性について教えていただきました。
 その他、チェーンソーや刈払機を使用する際の注意事項や、伐倒しているときに木が倒れてきたときの注意事項、通勤途中の災害についてなど、林業の現場での災害防止のための重要事項について説明いただきました。

オリエンテーションと安全講習の講師の皆さん
安全装備の重要性について教えていただきました
③ 地域資源見学(美瑛町内)

今回のツアーは林業の現場を知るだけでなく、その地域にはどんな魅力があるのか知っていただくためにも、地域資源を見学するツアーを行いました。美瑛町では、全国的に有名な丘の風景や、白ひげの滝などを見学しました。

美瑛町の丘の風景
白ひげの滝

【10月10日(木):2日目】

④苗畑見学((有)竹内山林緑化農園)

 (有)竹内山林緑化農園の松澤社長より、事業の概要をご説明いただいた後、美瑛町内に複数ある苗畑をご案内いただきました。生育期間ごとの苗の大きさや種も見せていただきました。通年雇用促進への努力、社内の親睦、農業高校生などの研修の受け入れ、手仕事も多い現場ではありますが、作業の軽減化・効率化を図るために、異業種からの技術を取り入れ自社で機械を開発したり改良したりしているなど、様々な企業努力についてもご説明いただきました。

松澤社長に苗畑をご案内いただきました
育成年数の違いによる苗の大きさの比較
種の見学
カラマツの苗畑
⑤育林の現場見学と体験((株)吉岡建設)

 (株)吉岡建設の玉置業務部長にご案内いただき、占冠村の国有林で地拵えをしている現場に向かいました。国有林は比較的山の奥地にあり、急傾斜地での機械作業を見学しました。就業2年目の女性社員に刈払機の操作方法を教えていただき、参加者は刈払機操作体験を行いました。
 その後金の沢に向かいました。ここでは、平成28年の台風による流木の撤去作業を行っていました。プロセッサでの作業の様子を見学して、操作方法を教えていただき、木材の移動などの作業体験を行いました。育林や素材生産だけでなく、災害の現場での林業の役割を認識する機会にもなりました。

刈払機で下草刈りをする様子を見学
仮払機の作業体験
プロセッサの試乗体験
急傾斜地での作業を行う国有林の現場
プロセッサによる作業の様子を見学
流れてきた倉庫の屋根がそのままになっているなど、台風の爪痕が残っていました
⑥懇親会

 南富良野町内で(株)吉岡建設の方々と懇親会を行いました。刈払機の操作を指導してくれた女性社員の方もいらして、この仕事に就いたいきさつや現状の暮らしなどを話していただきました。参加者の今後の抱負に対して色々な角度からアドバイスやエールが送られました。和やかに懇談を行う中で皆さんの林業への想いや地域に対する使命感を、参加者はひしひしと感じたようです。

【10月11日(金):3日目】

⑦素材生産現場見学と体験((株)吉岡建設)

 昨日に引き続き(株)吉岡建設の玉置業務部長にご案内いただき、占冠村の国有林の素材生産現場に向かいました。列状間伐を行っており、見事なオペレーションでハーベスタが枝払いや玉切りをしている様子を見学しました。
 次にチェーンソーの扱いについて指導を受け、作業体験も行いました。初めてチェーンソーを扱って輪切りにしたキハダを、参加者は記念にと持ち帰っていました。グラップルでの作業現場では、操作を教えていただき試乗し、太さの近い木を集めて並べる作業を行いました。またチェーンソーで伐倒する作業も見学しました。

ハーベスタによる枝払いや玉切り作業の見学
チェーンソー操作体験
太さの近い木を集めて並べる作業を体験
チェーンソー取扱の指導
グラップル試乗体験
チェーンソーによる伐倒作業の見学
⑧地域資源見学(富良野市内)

 富良野市に移動し、再開発による中心市街地活性化の現場を視察しました。富良野の農と食の魅力を内外に発信するにぎわい滞留拠点「フラノマルシェ」を視察し、昼食を取りました。観光客はもちろんのこと、富良野市民が地元の食文化を楽しむ憩いの場ともなっているようです。
 空きビル再生で「インバウンド」「簡易宿泊」「着地型観光」をキーワードに、情報発信とおもてなしの拠点として生まれ変わった「コンシェルジュフラノ」も見学しました。観光インフォメーションとガイド機能を主体とした1Fではスーベニアショップや農村レストラン、インフォメーションカウンターなどを見学しました。3Fではドミトリー形式と個室からなる簡易宿泊施設「HOSTEL TOMAR」を見学しました。働いている方も泊まりに来る方も外国人が多いとのことです。

経済波及効果の大きいフラノマルシェ
コンシェルジュフラノ3F HOSTEL TOMAR
コンシェルジュフラノ1Fにある、インバウンド向けスーベニアショップ
シェアキッチンもある宿泊者の交流スペース
⑨製材所・木材加工工場見学(協同組合大雪)

 美瑛町に移動し、協同組合大雪の今井部長より、事業の概要についてご説明いただきました。カラマツがメインであり、ほとんどが本州方面への出荷とのことです。カラマツはスギと比較すると狭いものから広いものまで幅のバリエーションが多いそうです。このあたりの地域では工場間の協力があり、納期に間に合わなそうな時などは、工場間で協力しあっているというお話もうかがいました。材木から約50%が製材になり、約35%がチップ、約15%がおがくずになり、製材の歩どまりを高くできるよう工夫しているとのことです。また海外向け製品には熱処理をしなくてはならないとのことです。
製材されていく一連の工程を見学しながら、収益を確保していくための工夫や、業界の地域性などもうかがうことができました。

製材されていく過程を見学
機械の操作も体験
チップサイロの見学

【10月12日(土):4日目】

⑩森めぐりツアー(NPO法人もりねっと北海道)

 最終日は旭川市のNPO法人もりねっと北海道の山本氏に指導いただき、森めぐりツアーでした。もりねっとのフィールド、ポンヌプリで、強めに間伐をして林内に光を入れ、広葉樹の自然発生を促している森を見学しました。多様性が高く大径木の針広混交林に誘導している森は、生産性は高くないが、付加価値の高い少数の樹木を随時択伐しているとのことです。そのための重要な基盤である高密度作業路網についても説明いただきました。管理・搬出用にhaあたり200mの作業路網が造成してあり、低環境負荷・低コストで持続的森林マネジメントを行っているとのことです。
 間伐する木を選ぶ考え方についても教えていただきました。森の未来を想像し、その木の強さや、形状や他の木との距離をよく見て主役になる木を選んでから、その木とぶつかっている木を間伐するということです。参加者は自分で間伐する木を選び、チェーンソーを使って伐倒も行いました。
 もりねっとの事業は一種の技術開発であり、実験的なことを色々とされていました。林業の考え方とはまた違った「森づくり」の考え方を学ばせていただく機会となりました。

山本代表より、様々な道具や機械を紹介
チェーンソーを使った伐倒体験
自然光あふれる針広混交林
チェーンソーの扱いも様になってきた参加者
⑪振り返りの会

 全プログラムを終え、もりねっとの事務所で振り返りの会を行いました。
 参加者は4日間の中で様々な体験ができたことに感謝し、ツアー前より林業に対してさらに良いイメージはプラスされたとのことでした。林業に関わっている皆さんが「楽しそう」であると感じ、森が手入れされ、気持ちの良い環境になっていく、現場の醍醐味を味わうことができたと語りました。川上から川下まで全てを体験できたので、4日間という日数は必要だったと感じたようでした。

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