一次産業インタビュー:えづらファーム(北海道紋別郡遠軽町)

北海道紋別郡遠軽町にある「えづらファーム」は、農場に住み込みをしながら農作業を手伝ってくれるボランティアの方を受け入れており、国内のみならず、海外からも多くのボランティアが農作業を体験しています。

新規就農や農業就職を目指す方を応援しているという江面暁人さん、陽子さんご夫妻も、東京から移住して農業をはじめました。お二人に農業を始めたきっかけや、毎年数多くいらっしゃるボランティアの方のこと、北海道での農業の印象などを伺いました。

(記事内の情報はすべて取材当時のものです。)

【こちらに来られる前はどちらに?】

東京でサラリーマンをしていました。妻とは結婚前、東京でまだお付き合いしている頃から、将来は農業をやりたいよねという話をしていて、30歳を目前に、結婚式をして翌日そのまま北海道に移住してきました。

【どういった経緯でこの土地にいらっしゃたのですか?】

ここに来る前、北海道の別の場所で一年間研修を受けていたのですが、その間、どうしても自分で農場を持ちたい思いが強くなって、どこか跡取りがいない農家さんを引き継げないか探していたところ、ここがたまたま引き継ぎ手を探していてタイミングよく手を挙げることが出来ました。人の縁とタイミングと運が良かったと思います。今、やりがいもありますし、環境も素晴らしいですし、大自然に囲まれて子供ものびのびと成長していますし、すごく満足しています。

【奥さんは引っ越していかがですか?】

こちらに来る前は人と出会うのが少ないのかなと寂しく思っていましたが、色々な人が来てくれて、色々な人との出会いもあって、やっていて楽しいです。子供を育てるにも良い環境だと思います。

【どんな方が農作業ボランティアに来られますか?】

今は韓国の方と京都の大学生が、ボランティアで来ています。今日はこの後、マレーシアから3名、明日はアイルランドから2名来ます。

うちに来る方は、ボランティアで働きたい方や農作業をやりたい方はもちろん、子供に食育を教えたい方や自然を体験させたい方、普通の旅行とは一味違うことをやってみたいという方が多いです。

【年間でどれくらいの方がいらっしゃいますか?】

去年は延べ250名ほどいらっしゃいました。中にはリピーターの方もいらっしゃいますね。海外の方はうち3割くらいで、国内の方だと道外の方が多いです。

北海道の農業は特殊だと思います。食料自給率が日本で一番大きい地域でもあるので、日本の食を支えるという責任感を感じられますし、一件一件の規模が大きいので、ダイナミックに農業をする醍醐味、やりがいを感じられると思います。

研修や体験を受け入れているところもあるので、迷っている人がいたら気軽に来てみてほしいです。私たち夫婦もそうでしたが、外から得る知識だけでは農業の実態はわからないことが多いと思うので、ぜひ一度農業体験に来てみることをお勧めします。

【農業をやって感じることは?】

農業は、無事に収穫できれば、今年も自然から恵みを得て、太陽の光と雨の水と土の力と栄養から、美味しい作物、立派な作物が出来て良かったねとなります。その反面、台風の多い年には台風でスイートコーンが全部倒れてしまったり、畑が流されたり、崖崩れで畑がなくなったりという事もあるので、大自然に恩恵を受けている立場でもある一方で、厳しさも受けている立場でもあると思います。

大自然を相手にすると、人の手では何も防ぐことが出来ないので、人間の無力さ、自分たちの無力さを感じることがあります。

【農業をやる上で心掛けていることは?】

最近流行りのサステナビリティというところでしょうか。年々作物を作っていくと地力がどんどん落ちていくので、維持、向上させていくために近所の酪農家さんからたい肥をもらって畑に撒いたり、緑肥と呼ばれる、キカラシやクローバー、ヒマワリなどを畑に植えて、地力の向上に努めたりしています。

他にも、同じ作物は同じ畑で続けて作らない輪作体系を維持するなど、基本的なことですが先人の知恵を引き継ぎながらやっています。

【地域の農家の方と関わりはありますか?】

はい。秋まき小麦の収穫は、9月に種を植え、翌年7月下旬から8月上旬に収穫します。その収穫を、コンバインと呼ばれる大きな機械で刈り取るのですが、この作業を地域の農家さんと共同で行っています。地域の小麦を作っている農家さんが集まって、みんなでコンバインを運転してトラックに積み込み、トラックで乾燥施設に送り込んでそこで乾燥させるというのを、朝から晩までかけてやっています。

収穫には適期があって、水分量がこれくらいじゃないと品質が落ちてしまう、結果収入に響いてしまうというようなことがあるので、出来るだけ各農家さんの麦を良い状態で収穫するために、天候と追いかけっこ、にらめっこしながら適期に収穫できるようにみんなで取り組んでいます。

【一年の流れを教えてください】

3月はまだ雪に覆われていますが、ハウスの中でビートの苗を育て始めます。4月から5月にかけて、小麦に追肥をしたり、畑を作ってそこにビートを移植したり、じゃがいもやスイートコーンの種を植えたりという作業を行います。

6月、7月は管理作業と呼ばれる期間で、作物の管理を行います。7月下旬から8月上旬で麦の収穫、8月下旬から9月いっぱいはじゃがいもやスイートコーンの収穫、小麦の種植えを行います。10月から11月にかけてビートの収穫をし、年間の畑仕事は終わりとなります。

12月、1月、2月は雪に覆われてしまいますので、畑での仕事は出来ない期間となります。

【北海道で魅力に感じるところは?】

北海道の魅力はやはりこの大自然だと思います。本州ではなかなかこの規模の自然はありませんが、北海道は都市部でも少し車を走らせれば、ずっと広がる農村地帯や山々がすぐ近くにあるのでとても贅沢だと思います。

私は写真を撮ったりするのですが、どこを切り取っても絵になるところも良いなと思います。また、色々な観光地や面白いところがたくさんあって、家族で出掛けたりするのにも、なかなか飽きさせない場所だと思います。

【大変なことは?】

人の手ではどうにもできない部分はとても厳しいと思います。例えば、天候次第で今年は経営自体が赤字になるかもしれないといった厳しさです。ただ、自然の恵みを受けながら仕事をすることにとてもやりがいを感じますし、楽しいと感じます。また、基本的に農家は一経営者なので、自分で全て判断し、その結果がダイレクトに生産物や収穫に影響することは非常に大きなやりがいだと思います。

【これからやってみたいことは?】

今すでに始めているのですが、これまで、農家民宿として自宅の2階を宿泊部屋にしてきたのですが、今年(取材当時)から隣の空き家をコテージタイプの農家民宿として新たにオープンしました。国内外問わず、色んな人に来てもらい、この地域の魅力、北海道や農家の魅力を一人でも多くの人に感じてもらいたいに思っています。

取材協力:えづらファーム
https://www.ezurafarm.com

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